あくる日、七月七日がやってきた。
僕はこの日を、病院のベッドの上で迎えた。
台車を引く音、看護師の話し声。
僕はしばらくのあいだ、外部から聞こえてくる音に耳をかたむけた。
……こちらの世界で眠っても、もうあの奇妙な池袋で目覚めることはなくなった。
これから先も、二度とあの世界の地面を踏むことはないだろう。
なぜなら緋色が向こうの世界の僕を殺してくれたから。
僕はまた、ひとりになった。
……緋色はまだあちらの世界にいるのだろうか。
外の風景が見たくなって、立ち上がった。
僕は点滴スタンドを右手で押しながら、窓ぎわへと歩いた。
空は明るい。雲ひとつない晴天だった。
風を感じたかったが、さすがに勝手に窓を開けるわけにはいかない。
眼下には駐車場が見える。
車も人も、動いている。
「あら? 西森さん、もう起きてらしたんですね」
いつの間にか病室に入ってきた女性の看護師にそう声をかけられ、僕はふり返った。
「八時には食事ですから、時間になったら食堂に来てください。場所はわかりますよね?」
「はい、だいじょうぶです。ありがとうございます」
看護師はにっこりと笑って病室を出て行く。
扉が閉まったあと、僕はふたたび、窓の外へと視線をもどした。
そうして朝食の時間までずっと、僕は動く世界をただぼんやりと眺めていた。